2025年8月号
慣れと当たり前
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暑中お見舞い申し上げます。
全国的に暑い日が続いています。
外出するのも躊躇われるほどです。
くれぐれも油断と無理は禁物です。
熱中症対策を万全にお過ごしください。
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猛暑が続いています。いや、猛暑どころではありません。40℃に迫る「酷暑」寸前です。
先月29日には、全国914地点のうち741地点(約81%)で最高気温30℃以上の真夏日となりました。また、同じく全国914地点のうち322地点(約35%)で最高気温35℃以上の猛暑日となり、過去最多を記録しました。すなわち日本の1/3が35℃以上になったのです。
そしてさらに、そのうち20地点では39℃台を記録。群馬県桐生市では39.9℃を記録し、今年一番の暑さとなりました。(なんと、翌30日には兵庫県丹波市で国内観測史上最高気温となる41.2℃を観測!)先日は北海道帯広で40℃予想も出され、大急ぎでエアコンを設置していると報道されていました。北海道で40℃の予報など、にわかに信じがたい現実です。
参考までに同時期のドバイの最高気温がどれくらいだったのか調べてみたところ40~43℃でした。驚くことに、帯広の予想とほとんど変わらないものだったのです。
15年ほど前の夏、旅行ガイドブックの取材の仕事でドバイに1ヶ月以上滞在していました。その年の日本の夏は「今年は格別暑い!」と皆が口を揃えるほどの猛暑が続いていましたが、ドバイから戻ってまず感じたのは日本の「涼しさ」でした。
たとえ35℃であっても、ドバイと比べたら10℃前後低いので十分涼しく感じられたのです。やせ我慢や中東かぶれではなく、日本がちょっとした避暑地にすら感じられたほどでした。慣れとはすごいものです。基準となる「当たり前」が変わってくるのですから。
話は変わり、先月は複数のオーナー様から物件に関するご相談がありました。不思議とタイミングが重なるものですね。相次いで5件のご相談をいただくことができたのですが、皆さまの大切なご資産をお預かりさせていただいている管理会社として不動産屋冥利に尽きます。
内容は、来年以降に竣工予定の新築物件の設備・仕様に関してのご相談が2件、築古物件の大型リフォームに関してのご相談が2件、今後の運用方法に関してのご相談が1件でした。いずれのご相談も多かれ少なかれ相続にも関係してくるため、正確な判断が求められます。
そこで重要になるのが、賃貸市場における過去・現在・未来の「当たり前」の見極めです。その現象は「慣れ」によるものなのか、「当たり前」によるものなのか。「慣れ」ならば、いつからのものなのか。「当たり前」ならば、「慣れ」が変えたものなのか。とはいえ、「慣れ」が全ての「当たり前」を変えるわけではないので、どんな種類の「当たり前」かを探ります。
そして、それらに対する最も費用対効果の高い措置の選択です。例えば、賃貸市場で費用対効果の高い措置の一つは「立地」です。いつの時代も優れた立地における不動産投資は有効です。「駅に近い」というのは、優れた立地の最たる例でしょう。不動産としての評価が安定しているので、資産価値を高めるために次なる一手が必要になったときにも思い切った選択ができます。
それでは、現在において、これから次の一手を打つ場合にどんな措置が費用対効果の高いものとなるのでしょうか? それは、「断熱」と「防音」であろうと考えます。
気候は以前の時代のものとは明らかに変わりました。それに伴って、社会の在り方や人々の暮らし方も次々に変わっています。今は小学校の教室にエアコンが当然の設備として存在する時代です。エアコンが使えなければ入居者からの家賃減額請求が発生しうる時代です。そこに、気候変動に電気代高騰も加わります。
また、耳を塞いだイヤホンから自分の好きな音だけに触れる生活が当たり前の時代です。選挙カーも停車中は演説を一旦休止するほど、周囲への音の配慮が求められる時代です。集合住宅で他所から聞こえてくる音への寛容度も変化しています。特にコロナ禍以降、景気や社会情勢の悪化につれて、入居者から寄せられる騒音問題が増えているように感じられます。
断熱性・防音性の優れた高性能住宅で生まれ育ち、それに「慣れ」ている世代が、その「当たり前」のない時代に建てられた集合住宅で暮らすのですから、当然ギャップがあります。ならば、そのギャップを最新措置で余りあるほどに埋めてあげると……という考えです。
先日も「断熱」に長けた建築家の友人から、補助金制度を含めた最新情報を学ばせてもらいました。ご興味がおありの方はお気軽にご連絡ください。ご紹介させていただきます。
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