オーナー通信セミナー開催報告やオーナー様に役立つ情報、お届けします。
The Newsletter for Owners
2009年11月号
第19回オーナーセミナーを行いました。
もう木枯らしの吹く季節になりました。 朝6時に西の空へ大きな月が沈んでいくのを見ました。 お元気にお過ごしでしょうか。 11月7日には第19回のオーナーセミナーを、40名以上のオーナーの皆様と、20名近い協力業者の方の参加で、楽しく開催する事が出来ました。 メイン講師の北村弁護士は、消費者契約法・更新料裁判・相続について解説してくれました。事故や事件の時の貸主責任についての質問が、時間がなく残ってしまいました。 次回、続きを解説してくれることになりました。 10月29日に大阪高裁で、更新料は有効という一審と逆の判決がでました。業界やオーナー団体から歓喜の声があがりました。裁判官もいろいろな人がいますから、勝ったり負けたりするでしょうが、更新料はなくなる、とれないというのが現実です。更新の時期に合わせて退室することが多いのですが、更新料をとるために退室が発生したら、オーナーにとって大きなマイナスです。現在の更新料は、一種追い出し税のようなものです。当社としては新しいお客様が増えるので、とってくれていた方が良いとさえ思っています。
当社は更新料はなく、定期借家契約の再契約時仲介手数料と、駐車場では更新時労務報酬を頂いていますが、今のところ何の問題もありません。更新の時、良く聞く払いたくない理由は、普段なにもしてくれていないのにお金を払うのは嫌だ、という言い分です。当社にはこのような事がないので、スムーズにいっていると思います。 礼金・更新料・敷引制度などは、住宅不足時代に定着した慣習です。住宅過剰時代の現在、続けられないのは明かです。 これからは、入居者に選んでもらえる貸し方・部屋作り・建物作りを進めていかないと、空き部屋のお守りをして過ごすことになります。 当社も所属する財団法人日本賃貸住宅管理協会が、家賃滞納者のブラックリスト作り、データベース化を目指すことになりました。反対の声がある中で強行する理由として、家賃滞納は無銭飲食と同じ、すなわち刑法犯という考えがあります。当社はそうは考えません。家賃滞納の理由に、失業やリストラなどやむを得ない事情があるケースがほとんどです。また、市民相談をしている時の相談事例に、雨漏りや設備故障に対応してくれないので家賃を払いたくない、といった事例もありました。借主の事情も考慮せずに不正確なブラックリストを作ったら、リストに載っている人々は大迷惑です。
当社の経験でも、最初から家賃を払う気のない悪質な滞納者は、100人に1人もいません。当社の30年以上の業務の中で2~3人です。多くの滞納者は、いろいろな同情できる事情で家賃を払えなくなった人達です。お金がないのを承知で飲食する無銭飲食者とは違います。従って刑法犯ではありません。 最近では、40才の独身男性が6ヶ月延滞した例があります。20年以上住んでくれていて、その間家賃滞納はありませんでした。この人は、一部上場の機械製造会社に請負で働いていましたが、昨年のリーマンショック以来会社の仕事が大幅に減り、正社員以外は全て解雇されたそうです。それ以来、ハローワークに行っても求人広告をみて応募しても就職できず、家賃を払えないので、アパート近くのオーナー宅前を通る時も肩身の狭い思いをしていたそうです。当社担当者もアドバイスをして、生活保護を受けることが出来たとのことです。滞納家賃は、遠くにいる父親が送金してくれたお金で、一括払いをしてくれました。 この例からみても、滞納者は無銭飲食者とは違い、刑法犯ではありません。私たち管理会社も貸主の皆様も、住まいという生活の基盤を提供することを職業としているのですから、滞納がおきた時も、生活基盤を破壊しないよう慎重な扱いが大事だと思います。また、万一回収できない家賃が生じたとしても、経営上のリスクとして容認する必要があります。銀行に貸し倒れ引当金があるように、一定の損は見込まなければならないと思います。
このところ、日本社会が大きな引き潮の中に引き込まれていると感じます。工場の海外移転や個人商店の減少や生産農家の高齢化などが報じられています。私たちの業界もそうです。 最近たて続けに5件、自宅を売りたいという相談を受けました。いずれも高齢化に伴って、ホームに入る・田舎住まいをする・親が亡くなった後の住宅の処分という事情です。 売買は当社の不得意な仕事なので、2件は相談とアドバイスをして終わりました。他の3件は事情があって今やっています。住宅が余っているというのは実感です。 賃貸住宅でも空室が目につきます。当社でも空室が急増しています。退室は増えているのに、新しい入居希望者は極端に少なくなっています。住宅業界も大きな引き潮の中にいます。更新料とか滞納者を犯罪者扱いするとかそういう方向ではなく、新しい入居者を獲得するためには何をしなければならないか、という方向で賃貸住宅経営を進めていこうと考えています。 これからが本当の競争です。 顧客に支持されている限り負けはありません。顧客の望んでいるものを提供できるよう努力します。 これからもよろしくお願いします。
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