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2014年8月号
相続税増税により増える賃貸住宅の供給
残暑お見舞い申し上げます。
まだまだ暑い日が続きますが、
立秋を過ぎ、朝晩の風に秋の気配を感じる時があります。
お元気にお過ごしでしょうか。
こんな暑さの中でも、部屋探しに来る人も退室する人もいます。
部屋探しの人は、駅近くに住みたい・やはり実家からは通えない・友達とシェアしたい・現在の管理会社が何もしてくれない・更新の時期がきたので・家賃を安くしたい、等々の理由です。退室をする人は、留学をする・実家に帰る・勤務先の近くに越す・住宅を購入した、等です。
この10年間実家に帰るという理由が一番多くなっています。大体3人に1人の割合です。独立した生活を維持するコストの節約です。退室した人には、家賃延滞で出てもらった人とか、音に敏感すぎて当社で対応しきれなかった人も含まれています。
入室数と退室数を較べると入室数の方が多いので、少しずつ空室を減らしていっています。良い賃貸住宅経営には、入居者の協力が絶対必要です。問題のある入居者が退室し、協力してくれる入居者と入れ替わることは良い経営にとって大事です。
7月29日に総務省が平成25年版住宅土地統計調査を発表しました。新聞各紙が一面トップで空き家の増加を報じていました。全国の空き家は820万戸、空き家率は13.5%、賃貸住宅の空室率は18.9%となっています。
この5年間で持ち家は6%増えて3,223万戸、民営借家は8%増の1,454万戸になったそうです。空き家・空室は増えているのに、供給は止まりません。景気対策としての住宅供給促進政策がとられ、新築優遇をしているからです。また税制で賃貸住宅経営を有利にしているからです。来年からの相続税の増税が決まっているため、これまで以上に賃貸住宅の供給が増えます。
社会問題としては、個人住宅の空き家が近隣や街の景観等に与えるマイナスの影響があります。火事や犯罪、倒壊の危険がいわれています。実際となりに空き家があり、雑草や植木が伸び放題になり、家も壊れそうになっていたら心配になります。条例で強制撤去を定めている自治体もあるのですが、訴訟の心配や費用の問題があります。今の固定資産税の仕組みでは、家が建っている時は土地の固定資産税は6分の1に軽減されています。この仕組みも空き家を放置する理由の一つになっています。
行政では空き家を賃貸できないかと色々工夫している自治体もあります。田舎の古民家活用、移住の促進などです。都市部では国が高齢者の持つ広い住宅を借り上げ、若い子育て世代に貸せないかという住み替え支援をすすめています。しかし高齢者が自宅を離れたがらないとか、受け皿となる老人が住める適当な住宅が少ないとかの理由で成功していません。
実際一戸建ての住宅を賃貸するという依頼を受けても、なかなか借り手が見付かりません。現在家族連れで転勤する人はほとんどいません。子供が小学校に行くようになると、子供を転校させることは避けられています。従って単身赴任になり、広い住宅を必要としません。そのうえ最近では転勤理由での部屋探しそのものがほとんどありません。企業の経営方針のためでしょう。転勤も国内より国外の方が多いのではないでしょうか。
第二に毎月一定の家賃を払える人なら、借りるより買う方を考えてしまいます。先日若い夫婦に住宅の相談を受けたのですが、何故住宅を買わないのか、何故賃貸に住んでいるのかと会社の人にも両親にも不思議がられ、ついに買ってしまいました。低金利・長期ローン・住宅ローン減税などの税制、銀行などの貸し出し攻勢などで買わないでいることが難しいのです。
第三に一戸建てを預かると、除草や窓開けなど借り手が見付かるまで手が掛かります。借りてくれる人が見付かっても、その人の使い方次第で苦情になったりします。アパート・マンションのような集合住宅の清掃や管理と違った難しさがあります。このことも一戸建て住宅の賃貸流通を妨げている理由です。
住宅は余っています。土地も余っています。一方人口は2005年以来減り続け、2050年には1億人を割ることは確実です。しかも高齢化が進んでいます。4人に1人が65歳以上という人口構成で、新しい住宅の需要は想像できません。もうこれからは今あるものを大切にし、モノを増やさないようにする事が大事です。
賃貸住宅経営でいえば新築したり建て直したりせず、築30年でも40年でも手を加え補強をし、設備改善を行い魅力ある賃貸住宅をつくっていくことが正しい方法だと思います。最終的には家賃を適正にしていけば入居者を見付けることは出来ると思います。そうすることは、新しいコストをかけて立て直すよりずっと経済的に有利です。
今入居者が求めているのは入居者サービスです。日常の生活で困ったことにすぐ対応してくれ、問題を解決してくれるサービスです。当社では生活支援サービスと呼んでいます。
現在当社の来客の3分の1は、紹介された人とかリピートする人です。当社は当社のやり方に自信を持って良いと思っています。
オーナーの皆様のご協力も得ながら、良い賃貸住宅経営を目指していきます。
これからもよろしくお願い致します。
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