
賃貸物件の契約を結ぶ際、当たり前のように含まれる「礼金」。当社では貸し手と借り手が対等の経済関係を結ぶ際に「礼金」の存在は障害になると考えています。
礼金は住宅不足時代の貸し手優位の象徴です。戦後60年続いた習慣ですので、それなりの合理的根拠があったのでしょう。しかしバブル崩壊後、低成長時代に入り住宅ストックの過大なことが明らかになった今日、貸し手優位のバランスを正常と思える方向に是正しなければなりません。事実、多くのオ-ナ-様が礼金は0でもよいから良い借り手をみつけて欲しい、と望んでいます。
当社では、礼金を0にするためにはオ-ナ-様側に家賃1ヶ月分を負担してもらっています。通常の管理サ-ビスとは別に、入居者が入退去する際には、管理会社に多くの仕事が発生します。退居時の立ち合い、損害の査定合意、補修工事の手配・監督、空室の管理、入居時の立合い等です。そのために、当社では入退居時管理費用として通常の管理料以外に家賃の1ヶ月分を頂いています。
同時に、この費用は流通費用として他業者の客付けによって、当社に仲介手数料が入らない時も、それをカバ-するものとなっています。これまでは、借り手が負担する礼金の中でオ-ナ-の方には負担感なくまかなわれていたこの費用を、オ-ナ-様に負担してもらうのが当社の「礼金0システム」です。
ここに大きな改革があるために、礼金0物件の流通は2~3割にとどまっているのです。
一度の契約で4年居住して頂けるのが通常のパタ-ンと考えると、4年=48ヶ月で受取賃料は入退居時管理費用1ヶ月分を差し引いた47ヶ月分になります。このことによる値下げ率、あるいは減収は47÷48=0.979の計算で約2%です。家賃だけの値下げでは、現在5%・10%・20%値下げしている例も多いのです。従って、礼金ゼロで空室がいち早く決まるのであれば、オ-ナ-様の減収は相対的に小さくなると言えるでしょう。
賃貸経営の大敵「空室」。2ヶ月も3ヶ月も空室が続くとその間の逸失利益は礼金ではとてもカバ-できません。「礼金ゼロ」に設定することで賃貸物件の入居率が高まれば充分カバ-できます。早く入居者を見つけることが最終的にはオ-ナ-様の利益になるわけです。
平成12年3月から定期借家契約制度が施行されました。当社で礼金ゼロに設定した物件ではこの定期借家契約を採用しています。
従来の普通借家契約との大きな違いは予め定めた期間で契約が終了するという点ですが、加えて契約自由の原則から途中解約の可否、家賃決定ルール等これまで法的に保証されていた借主保護の規定が外されています。加えて礼金の根拠として考えられていた借家権も期限を限定された弱いものとなっていますので、その点でも根拠を失っています。
このように借主の保護が薄くなるということは、入居者(=借主)が前もって契約書を確認していなかった場合、認識のズレのため大きなトラブルになる可能性があります。一般的な賃貸契約の場合、借主の権利が優先されると考える人がまだ多いためです。
従って、これからは入居希望者が契約時に契約書を読み込み自身の権利をしっかりと理解することが前提となります。貸主・借主が合意することで退去時のトラブルを未然に防ぐことができます。
従前の賃貸契約とは異なるものであるという事実を双方がしっかり認識しておくことが重要です。
「定期借家契約」により礼金ゼロを設定するための余力が生まれるわけですが、あくまで契約内容を双方がはっきりと認識するようご留意ください。