オーナー通信セミナー開催報告やオーナー様に役立つ情報、お届けします。

The Newsletter for Owners

2024年7月号

目の前の一人に真摯に

夏至を過ぎ、小暑、大暑と、
夏本番へと向かっています。

今年もこの時期は蒸し蒸しとした
大変暑い日が続いています。

お元気にお過ごしでしょうか。


目の前の一人に真摯に
池田 峰


ついこの前、繁忙期に向けた準備をしていたと思ったのに、ふと気が付けば、2024年も半分を過ぎていました。残り半年。後半突入です。

毎年のようにこの時期になると「あっという間に7月。1年の半分がもう過ぎちゃったよ!」と、その早さに驚いてしまっているのですが、今年は格別です。例年に増して、時の経過が早く感じられます。自己最高記録です。

このように、歳を重ねるごとに1年の経過が早く感じる現象を心理学的に説いた「ジャネーの法則」というものがあるのですが、それによると「人生で感じる時間の長さは年齢の逆数に比例する」そうです。例えば、50歳の人にとっての1年は人生の1/50ですが、5歳の子にとってみれば1/5になるので、主観による年月の長さは歳を重ねるほどに短く感じられる(時間の経過が早く感じられる)ということだそうです。

確かにそうかもしれません。しかし、今年に限っては、それに加えて新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の世の中の動きが影響しているようです。

住み替えや転勤でのお部屋探しが増えています。管理のご依頼や売買のご相談が増えています。足場をかけた現場をあちこちで見かけます。業界団体の会合やセミナーも増えています。トーコーキッチン視察が週1組のペースにまで戻っています。時の流れをここ数年より早く感じられているのは、止まっていた世の中がそれだけ動き出しているからかもしれません。

10年ほど前に、こんなことがありました。

ある日、一人のお客さまがご来社されました。駅になるべく近くて、同じ建物内に2部屋空いている単身者向けの物件をお探しでした。聞けば、病で半身不自由になってしまった母親の近くに住むためだとのことでした。

長いこと離れて各々が独立した暮らしをしていたので、再び一緒に暮らすのは互いにとって現実的ではない。とはいうものの、やはり一人きりでは心配。母親にはリハビリを兼ねて自立した生活を送ってほしいし、母親自身もそれを望んでいるので、それを近くでサポートする暮らしを実現させたい、というのがご希望でした。その思いに、胸を打たれました。

あいにく駅近物件で該当するものがなかったため、駅近を希望する理由をたずねてみました。

「どうしてなるべく駅に近い物件がご希望なんですか?」
「母が病院に通うのに駅がすぐ近いと便利だからです」
「どれくらいの頻度で病院に通われているのですか?」
「月に一回です」

そこで、駅から徒歩10分くらいの住宅街にあり、2部屋空いている物件をご提案しました。駅からは少し離れますが、車道から段差もあり、しっかりとスペースが確保された一本道の歩道を通って、信号もなく、24時間営業のスーパーまで徒歩3分で行ける物件です。

しかも偶然にも、その空室2部屋は同じ位置の上下階でした。1階にお母さま、2階にご自身がお住まいになれば、適度な距離感を保ったまま、お互いの気配を感じていただけます。

月に一度の通院で発生する駅までの移動は他の手段を考えるとして、まずはリハビリと自立を兼ねたお母さまの新たな日常生活を実現させるために、両者が毎日安心して送れる環境を整えた方が、今回のお部屋探しにおけるお二人の希望に適うのではないかと考えたのです。

さらにご安心いただけるようにと思い、物件オーナーさまにお願いをして、お母さまが1階のお部屋に向かう動線上に手すりを設置していただきました。そのオーナーさまのお心に感動したお二人は、10年以上経った今も、変わらずにお住まいになっています。

目の前の一人に真摯に向き合い、じっくりとお話をうかがってみなければわからないことがたくさんあるという原理原則。当通信をご覧の皆さまから大切なご資産をお預かりしている私たち、そこに住まう皆さまの日常生活に寄り添うことが職務の私たちは、時の流れの早さにごまかされることなく、その原理原則をしっかりと胸に刻み続けていく必要があるのだと、能登半島地震から半年経過のニュースを見ながら自身を戒めた今年の7月1日でした。

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